平成17年に発行された沖縄県民経済の概況によると、平成14年時点で県民総所得に占める軍関係受取(注)はわずか5.2%に過ぎません。これ以降の統計は発表されていませんが、那覇新都心の本格的な開発が進み大きな発展を遂げたのは平成14年以降なので、この数字はさらに低くなっているとみられます。このことからも、米軍基地の存在による経済効果は、県経済にさしたる影響を与えるような水準ではないことが分かります。
県の調査によると、那覇新都心として生まれかわる前の牧港米軍住宅地からの基地関連収入は52億円、当時の経済波及効果は所得誘発額が17億円、税収も6億円ほどです。これが基地返還後に開発が進んだ結果、現在の商業施設の年間販売額は600億円を超え、所得誘発額も返還前の10倍を超える180億円、税収も97億円に膨らんでいます。
那覇新都心開発の成功は、米軍基地は返還されて商業地や住宅地に生まれ変わった方が経済効果が上がることを如実に示す一例です。
那覇新都心の一等地に大和ハウスが建設したリュークスタワーの最高層階の販売額は現在1億円を超えますが、「那覇新都心の大和ハウスのマンションは、値崩れしない」という信頼があり、県外からの投資目的の購入も少なくないといいます。
このように大きな経済効果が上がる基地返還が、沖縄で今後10年以内に予定されています。その中でも、最も大きな経済効果が予想されているのが、普天間基地の返還です。
普天間基地は、沖縄南部に位置する那覇市と中部の商業地域である沖縄市、アメリカンビレッジがある北谷町、国際物流拠点として産業の集積が進むうるま市を結ぶ交通の要衝、宜野湾市に位置します。481 ヘクタールにもおよぶ広大な敷地は宜野湾市の面積の約25%を占め、その敷地をとり囲むようにして住宅が密集しています。
普天間基地の商業的利用価値は非常に高く見込まれており、返還後に建設が予定されている商業施設だけでも年間販売見込み額は4500億円、3万2千人の雇用が生まれると予想されています。まさに「基地が一等地」に変わるのです。
現在、日米政府間で交渉が進んでおり、返還の時期はまだ不確定ですが、全面返還されることは合意がなされています。返還されればこの地域の経済成長率が日本一になることはほぼ確実でしょう。アジア経済圏に強烈なインパクトを与えるような爆発的な成長を遂げる可能性も高いと言われます。
このビジネスチャンスを最大に活かすには、基地返還後の沖縄進出では遅すぎます。返還後には、多くの外資系・県外企業が沖縄に流れ込むと予想されるので、地価・賃料も上がりますし、返還前から沖縄に進出して県内での認知度やブランドの確立等、ビジネスの「仕込み」を整えてきた先行企業に後発企業が勝つことは、容易ではないからです。
基地返還後の経済効果をターゲットにビジネスを仕掛けるタイミングは、基地返還を控えた「今」がベストなタイミングです。基地返還に伴うこのビジネスチャンスを最大限に活かすためにも、沖縄の高い将来性を見越した迅速な事業進出をぜひご検討ください。
(注)「基地関連収入」の意。軍人・軍属消費支出、軍雇用者所得、軍用地料の基地関連収入の合計は、県民経済計算上は「軍関係受取」として整理されています。

平成17年沖縄県民経済の概況より
返還予定の米軍基地施設
基地名 |
所在地 |
面積 (ha) |
---|---|---|
陸軍貯油施設第1桑江タンクファーム |
北谷町 |
16 ヘクタール |
普天間飛行場 |
宜野湾市 |
461 ヘクタール |
牧港補給地区 |
浦添市 |
274 ヘクタール |
キャンプ瑞慶覧 |
北谷町など |
596 ヘクタール |
キャンプ桑江 |
北谷町 |
68 ヘクタール |
那覇港湾施設 |
那覇市 |
56 ヘクタール |
沖縄県統計資料集より
参考:NIKKEI BUSINESS ■2012.8.6 ・13
「沖縄経済圏 アジアを引きつける新産業の衝撃」